はじめに

旅費精算というと経理の仕事ではないの?と感じる方や実際、経理部門が実施しているケースが多いでしょう。

しかし、出張にかかる精算には旅費規則に規定されている日当の支給が存在します。この日当の支給についてはその条件を含め就業規則の分類に入るため総務が管轄する場合があります。また、賃上げ交渉の他にもこの日当の取り扱いは労働者にとって影響があるため労使交渉や協議の対象になることもしばしばあります。

旅費精算で使うツール

昔は紙やExcelを利用していました。(今でも現役の会社も存在するかもしれません)

しかし、令和の今は、クラウド型の経費精算システムが主流です。そのため業務を行うためには経費精算システムの理解を進める必要があります。

おやっ?と思った方がいるかもしれません。経費精算システムと旅費精算システムは別物なの?と。

答えは一緒です。

出張にかかる交通費や業務で使用する備品の購入などは社員が立替えて支払っていることがあります。その立て替え払いの精算(社員への返金)をするという意味において、交通費もその他の経費科目も一緒に精算するため、まとめて「経費精算」といっています。

経費精算システムには日当の支給条件を載せ、立替えた旅費精算と日当をONして社員に返すということ実施します。

(日当支給条件が複雑で自社システムを利用している場合、旅費精算は別で構築し、経費精算システムと言わず旅費精算システムというケースもあります。)

担当する業務内容

経費精算システムの流れをまず理解する必要があります。流れはそんなに難しくありません。

  • 本人の事前申請(前借ありの場合は入金)
  • 出張
  • 帰着後本人が精算
  • 精算時、区分・条件により日当をON
  • 届け出しているの口座に入金(精算後入金か給与同封かは会社によります)

担当者の確認事項は以下です。

  • 事前経費申請が必要か必要でないかの確認
  • 事前経費申請で前借がある場合、振込の手続き
  • 精算時、事前申請が必要な出張は、精算と紐づけができているか確認
  • 前借金がある場合は出張後精算の内容としっかり紐づいているか確認
  • 領収書にインボイスの記載があるかないか確認
  • 軽減税率が品目ごとに正しく反映されているか確認
  • 精算内容の領収書がしっかり添付されているか確認
  • 日時の情報から日当支給が正しく計算されているか確認

注意する旅費規則

旅費規則の日当にはご苦労さん賃扱いとなる日当が存在します。(深夜加算や休日加算などの日当です)

出張に必要なものを購入するものの代金とならないような手当は経費補填とならず、たとえ旅費規則に記載があったとしても、「賃金」として扱われます。賃金として扱われると当然、所得税の課税が必要となり、源泉徴収が必要になります。

このように、大きい金額で支給する手当やご苦労さん的扱いで支給する手当が規則の中にある場合は、税務署に指摘されるリスクがあることを承知しておいてください。

規則の解釈についての争い

多くの旅費規則には日当について「○時以降に帰着、○時以内に出発したら○△□円を支給する」といったように非常に短文であっさりと一文や表に記載されています。しかし、この書き方が揉める原因になります。例えば○時以降帰着と書いた場合、帰着時間の概念が自宅最寄り駅到着時間となるのか、実際に自宅に帰着した時間なのかで支給有無が変わる場合、対象にするしないで揉めることがあります。大企業などは規則の解釈を別に運用規則や細則にまとめているケースがありますが、そのような決まり事がない場合は、その時の判断となってしまいます。過去は支給されたのに今回支給されない、Aさんは支給されているが自分は支給されないのはなぜなのか、といったクレームにつながり後々対応が面倒になるため、このような事態を避けるためには旅費規則だけでなく、細則もしっかり整備しておく必要があります。もし、そのような資料がない場合、担当するあなたが率先して作っていくことが重要です。

さいごに

出張の多い会社であれば処理する件数も桁違いに多いです。そして、お金が絡んでくる仕事については、振込が遅いと怒られたり、計算間違いがあるとどうなっているんだと詰められたりとそれなりにストレスが溜まります。派手な仕事でない分、やりがいが生まれてこないこともあり、敬遠されがちな業務ではありますが、社員からの質問が多いということは困っている人が多いということと同義であるため、詳しくなるとすごく頼りにされます。そのため、腐らず続けることがこの業務で一番大切なことです。